クロガネ・ジェネシス

第1話 ドラゴンの埋葬
第2話 猫と狼の亜人
第3話 (次回更新予定)
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第一章 海上国家エルノク

第2話
猫と狼の亜人



 時刻は夜7時を回っていた。森を抜けた先は、海の上に作られた石の都市だった。
 当初の予定とは大幅に遅れたが、一行は無事エルノクの最初の都市にたどり着いた。
 そこは港町を海の上にまで広げて拡大したような町だった。事実、海と大地の境界になるべき港町は港町としては機能しておらず、海上都市への繋ぎのとして機能していた。
 すでに日は暮れ、民家や酒屋などの建物には、魔光の明りが灯されていた。
「ついたわ。ここがエルノクの港町の1つ。レーゼの町よ」
「変わった形の町だな」
 零児の言うとおり、1つ1つの民家や建物は全て橋によって分かたれていて完全に独立している。言うまでも無くこれはエルノクだけの特徴だ。
「ほんとだね。こんな町見たこと無いよ」
「私も……」
 火乃木とシャロンは興味津々に大きく視線を走らせている。
「ネルは来たことあるのか?」
「傭兵時代に来たことあるかな。あんまり詳しくは無いけどね」
「はいはい! 話はその辺にして、早速アルテノスへの船を確保するわよ」
 アーネスカが零児とネルの会話を遮る。
「ふ、船?」
 その途端、零児の顔色が悪くなった。
「そ。これから1週間は船の上で過ごすの。前も言ったと思うけど、エルノクって国は首都アルテノスを中心に、5つの海上都市で構成された国よ。それぞれの町へは海龍《シー・ドラゴン》を使った大型船に乗って移動するのよ。運行は朝、昼、夜で1日3つずつ便が出ているから、夜の便に乗ってアルテノスを目指すの」
「うわぁ〜! ボク船って乗ったこと無かったんだよね〜。楽しみだなぁ!」
「海龍《シー・ドラゴン》の巡航船は、普通の船よりも揺れが少ないから、結構快適な船の旅になると思うわよ」
 笑顔で説明するアーネスカ。火乃木は本当に船に乗るのが楽しみなようだ。
「ネルは乗ったことあるのか? 船」
 零児は青い顔をしながらネルに問う。
「うん。乗ったことあるよ。クロガネくんは乗ったこと無いの?」
「いや、あるけどさ……」
 零児の顔はやっぱり青かった。

 船賃を払って一行は海龍《シー・ドラゴン》が引っ張る巨大な船に乗る。
 海龍《シー・ドラゴン》が引っ張って船を動かすというのはエルノクの独特のやり方だ。船を使って風任せに進むよりも早さがある程度安定し、あまりゆれないという利点があるからだ。
 何より最大の利点は海龍《シー・ドラゴン》というドラゴンの背だ。ゴツゴツとした甲羅のようなものがあり、非常時には海龍《シー・ドラゴン》の背に大勢の人間を乗せることが出来る。
 無論、それが出来るようになるまで海龍《シー・ドラゴン》を手なずけなければならい。それが面倒であり、調教が大変なことから世界的にはメジャーではない。
 船に乗っている人間は実に様々だ。行商人や貴族もいれば一般人もいる。
 5人は乗船後、2つに分かれて行動することにした。即ち食堂と寝室だ。昼食もとらずに歩き続けたのだから空腹も疲労もピークに達している。その後は食堂で落ち合う予定だ。
 火乃木とアーネスカとシャロンが食堂で、零児とネルはそれぞれ寝室に向かった。
 寝室といってももちろん豪華客船ではないから、個室ではない。4人ほどの人間が相部屋で1つの部屋を使い、2つある2段ベッドで眠るのだ。
 部屋は8畳ほどの広さがあるが、寝る以外のことを想定していないためか、かなり質素に作られている。部屋の掃除くらいはされているが。
 ちなみに、トイレは全て共用だ。
 寝室に入って、零児は自分の割り当てられた棚に荷物を突っ込んだ。
「クロガネくん。どうするの?」
「寝る」
「え? もう?」
「シャワー浴びてからな」
「ご飯はいらないの?」
「あまり起きてたくねぇんだよ」
 ぶっきらぼうに答えながら、零児は自分の使うバスタオルだけを持ってシャワー室へと向かった。
 ネルも自分の棚に適当に荷物を乗せて、零児と同じようシャワー室へ向かった。ネルはその後食事に行くつもりでいたが。
 零児以外の4人は、それ以降零児の姿を見ることはなかった。

 翌朝。
 朝食のために、零児を除く4人が食堂に集まった頃。
「零児の奴、遅いわね?」
「そうだね〜?」
 アーネスカと火乃木が零児のために空けていた席を見る。
 なぜか零児が食堂に来ない。昨日ならばまだ疲れていたということで納得できるが、流石に夕食、朝食と続けて食事を抜くのは疲労が原因とは思えない。
「ネル。確かあんたと零児と相部屋だったわよね?」
「うん。起こしに行った方がいいかな?」
「そうね〜。ちょっと見てきてくれる?」
「分かった」
 ネルがテーブルから立ち上がろうとしたときだった。
「ちょっと待った!」
 火乃木が異を唱えた。
「レイちゃんを起こしに行くのはボクの役目! だからボクが行ってくる!」
「あ……そう?」
 なぜか鼻息荒く息巻く火乃木。ネルはどことなく気圧され、火乃木に零児を起こしに行く役目を譲った。明らかに火乃木が対抗しているのが分かる。
 火乃木が席を立ち、歩き始めた直後。
「……ん?」
 火乃木のミニスカートを掴む小さな手。
 シャロンだった。
「どうしてシャロンちゃんが邪魔するのかなぁ〜?」
 火乃木は笑顔で怒りをあらわにしてシャロンを睨む。
「火乃木が零児を起こす役なんて誰も決めてない」
「……!」
 火乃木が本格的にシャロンを睨む。
「レイちゃんが起きてこないときは、ボクが起こすの! 小さい頃からずっとそうしてきたんだから!」
「別に零児を起こすのは誰でもいい。私だっていいはず」
「ダメ! 絶対ダメ!」
「ネル……面倒くさいから行ってきて……」
「はいはい」
 言い争いを続ける2人に呆れるアーネスカ。ネルは苦笑しつつ零児が寝ている部屋へ向かった。

「クロガネく〜ん? いつまで寝てるの〜?」
 零児とネルと他、客2人の相部屋の寝室。その部屋で、零児以外の人間がいないことを確認してからネルが呼びかける。
「……ほっといてくれ」
 零児はベッドで横になりながらぶっきらぼうに答えた。
「ご飯くらい食べないと体に悪いよ?」
「いいんだよ。1週間くらい食べなくたって人間生きていられらぁ」
「みんな朝ごはんのために食堂に行ってるんだから、クロガネくんも起きなきゃダメだよ!」
「しかたねぇなぁ、もう。分かった分かった」
 零児は渋々起き上がった。
「顔洗ってから行くから、先行っててくれ」
「OK!」
 ネルが退室していく。零児は頭をポリポリと掻きながら着替え始めた。

 零児が遅れて食堂に到着し、無事食事を終わらせた直後。
 零児は甲板にいた。火乃木に海を見ようと誘われたのだ。
 潮風が頬をなで、どこまでも広がる大海原。晴れ渡った空と太陽。恋人達が愛を語らうには十分なロケーションだ。
 少なくとも火乃木はそれを期待していた。しかし……。
「うええええええええ……」
 力なくうめき声を上げて顔を真っ青にしている男が1人。
 鉄零児《くろがねれいじ》その人である。
「はぁ〜……。期待したボクがバカでした……」
 零児は甲板の手すりに体を預けうつむいていた。完全に船酔いである。
「はぁ……はぁ……空気が美味い……!」
「情けないわね〜」
 パクパクと魚のように口をあけて空気を取り込む零児の姿。アーネスカがケラケラとそれを笑いながら、零児と火乃木に近寄る。
「だから部屋から出たがらなかったのね」
「そう……みたいだね。あ〜んもう! こんな素敵なロケーションなのに、船酔いでゲーゲー言ってるんだから呆れちゃうよ」
 火乃木が思いっきり零児をさげすむ。その言葉が槍となって零児の心を貫いた。
「きっついなぁ〜……火乃木」
「あんたそんなんで1週間もつの?」
 両手を腰に当てて零児の顔を覗きこむアーネスカ。
「知るかよ……」
「ま、いいけどね。あたしは、船内でマジックアイテムをちょっと見てくるわ」
「ん? 船の中に店があるのか?」
「あるわよ。1週間船の上で過ごすんだもの。暇を潰すものはいくらでも用意されているわ」
「そっか……俺も行く。気が紛れるかも……」
「あ、じゃあボクも」
 零児とアーネスカと火乃木は3人揃って船内へと戻っていく。
 船内の廊下を歩きながら零児がアーネスカに問いかける。
「そういや、ネルとシャロンは?」
「2人とも船内を散歩してるわ。シャロンが珍しがって、じっくり船内を見て回りたいって言い出してね」
「そうか。まあ、あいつには確かに刺激が強いかもな。この船の大きさは」
「そうね」
「アーネスカ。マジックアイテムはどこに売ってるのかな?」
 好奇心旺盛な火乃木の問い。アーネスカは喜んで答える。
「この船は1階が食堂。2階が酒場兼食堂、3階が売店になってるから3階じゃない? まあ、行ってみれば分かるわよ」
 それから数分ほどして3人は売店のマジックアイテムコーナーにやってきた。
 青いじゅうたんの敷かれた広大な部屋。窓ガラスから光が覗く船内は3階全体が売店になっていて、部屋の中央では大道芸人が芸を見せていたりする。
 マジックアイテムのコーナーはそのうちの一角に存在していた。
 品揃えはそこそこといった所で、基本的なマジックアイテムが揃っている。
「錫丈タイプの魔術師の杖にスピネル、アミュレット。ふ〜ん……一般的ね……」
 アーネスカは品物を1つ1つチェックしていく。
「あ、アーネスカ。これ何かな?」
 火乃木がその売店コーナーにおいてあった品物を1つ取り上げてアーネスカに尋ねる。
 それは火乃木の持っている木製の魔術師の杖とは違う形状をした金属性の魔術師の杖だった。
「ああ、錫丈タイプのことね」
「しゃくじょうたいぷ?」
「魔術師の杖って、普通樫の木を削りだして作るでしょう? これは魔術と自然は非常に密接な関係があって、木製の魔術師の杖の場合は、人間が作り出した魔術式と、人間がそれを言葉にすることによって、呪文そのものに魔力が宿る。要するに人間の言葉と杖の共鳴によって魔術を発動するからなんだけど……」
「ア、アーネスカ……良く分からないからもうちょっと簡単に説明してくれないかな?」
 アーネスカに魔術を語らせたらどれくらい長くなるのか分かったものではない。話が長くなりそうなので、火乃木は早々に話を進めるようアーネスカに進言する。
「あらそう? じゃあ、錫丈タイプの杖についてなんだけど、錫丈タイプは予め魔術発動の呪文、つまり魔術式と発動させる魔術と、その発動に必要な魔力を予めセットしておくことで、即座に魔術を発動できるようにしたものなのよ」
「え? じゃあ、木製の魔術師の杖っていらないんじゃ……」
 木製の杖は魔術発動のための呪文を何度も繰り返し発動し、杖そのものが呪文を覚えた段階で始めて呪文詠唱無しで使えるようになる。
 アーネスカの説明だと錫丈タイプはそういった呪文詠唱を一切しなくていいことになってしまう。
「ところがそうでもないのよ。錫丈タイプで1度に使える魔術は合計3つまで。さらに、専用に魔力をストックしておく必要があるから、自分で魔力を流して魔術の威力を状況に応じて加減するってことが出来ないの。確かに魔術の訓練無しで使えるって所は大きいけど、本格的に魔術をかじった人間はやっぱり木製を選ぶのよね」
「そうなんだ……ってあれ? レイちゃんは?」
「あら?」
 2人が話し込んでいる間、零児がいつの間にかその場から消えていた。2人はキョロキョロと辺りを見回す。
 すぐに零児の後姿を見つける。左腕がないことからそれは零児に違いなかった。零児は別の売店でなにやら買い物をしているようだった。
 2人はそっと零児の元へと寄っていく。
「酔い止めの薬って……ありますか?」
 零児は船酔いを止めるための薬を買いに別の売店を探していたようだ。
「はい、それでしたら、こちらの粉薬のタイプをお勧めいたしますが」
 男性店員はそそくさとショーケースの中から瓶詰めされた粉末の薬を取り出して零児に勧める。
「じゃあ、それを……」
「かしこまりました」
 零児は買った薬を早速その場で空けて適当につまんで口に放り込んだ。
「ゲホッゲホッ! 水もないのに粉末を飲むもんじゃないな……」
 そんなの当たり前である。
「レイちゃん……筋金入りだね……船酔い……。大丈夫?」
 流石に心配になったのか、火乃木は零児を気遣う。
「あ、ああ……多分大丈夫。一応薬飲んだしな」
 そうは言っても相変わらず零児の顔は青い。
「食堂に行って、水飲んできた方がいいんじゃないの?」
 アーネスカも零児を気遣う。船酔いの苦しさは船酔いを経験した人間にしか分からない。アーネスカは少なくとも船酔いになったことはないが、零児の様子を見るに、本当に苦しいことだけは分かる。
「そうする……」
 2人はフラフラ歩いていく零児の後姿を見届ける。
「前途多難だわね……」
「うん……」

 その日の夜。
 薬の効果でなんとか体調が回復した零児も加えて5人で楽しく食事を取っていた時のことだった。
 事件は突然に起こる。
 酒瓶が割れる音が響き渡り、柄の悪い男達が喧嘩を始めたのだ。
 怒声が鳴り響き、男達の取っ組み合いが始まる。船員はその男達を静めようと躍起になるが、きく耳持たずといった感じで男達は互いを罵り合っている。
 そんな最中。男達が投げた酒瓶が零児達のテーブルに向かって飛んできたのだ。
「レイちゃん危ない!」
「え?」
 零児は自分の真横から飛んできた酒瓶に気づくことが出来ない。
 男達の喧嘩を我関せずといった感じで見ていた客達も同じ気持ちであったに違いない。酒瓶は零児の右側頭部に見事に直撃した。
 瓶は粉々に砕け散り、零児は地面に突っ伏してしまう。
「クロガネくん!」
「レイちゃん!」
 ネルや火乃木はもちろん、他の観客達も酒瓶が直撃した零児に近寄り気遣う。
 零児の頭はアルコールに濡れて、額から血が出ていた。
「…………」
 零児は右手を地面について体を起こす。
「零児! あんた大丈夫? 意識ある?」
「ウウウウウウウ……」
 零児は歯を食いしばりうめく。
「……人が……人が船酔いに苦しんで……やっと落ち着いて食事が取れると思って楽しんでいたのに……!」
 零児は血を流しながらフラフラ立ち上がり、気まずそうに自分達の方を見ていた男達を睨みつけた。
「ぬしゃああああてめぇらそこんなおれゃあああああああああ!!」
 喧嘩していた男達に向かって発音困難かつ意味不明なことを言いながら向かっていく。
「あ、レイちゃんが切れた……」
 それだけストレスが溜まっていたということだろう。
 切れた零児は喧嘩していた男Aに向かって跳び蹴りを放つ。伸びきった零児の足は見事男の顔面を直撃した。
「ごふぉおぁああ!」
 間抜けな叫びを上げてぶっ倒れる男A。しかし、男Aは気絶してはいなかった。
「て、てめぇ、元気じゃねぇか……! おい! お前らも相手してやれ!」
 男Aの子分らしき柄の悪い連中が席を立ち、零児を睨みつける。
 その間に、男Aと喧嘩していた男Bはいずこかへ姿を消した。面倒くさくなったからだろう。
「……!」
 5人ほどの男Aの子分が零児に向けて迫ってくる。子分の1人が零児の顔面目掛けて酒瓶をぶつけようとしている。血が上った零児はそれを右の拳で叩き割ろうと瞬時に判断した。
 しかし、零児が酒瓶を割ろうとするより早く、何者かの蹴りが子分の顔面を蹴り飛ばしたのだ。
 それはショートカットの女の子だった。
 ピンク色のチャイナドレスに身を包み、プロポーションの良い肢体をアピールしている。彼女にはこの場にいる誰よりも異なる特徴があった。側頭部から生えた猫のような耳。尻より上の部分から伸びている、2つに枝分かれした白い尻尾。さらに肉球のようなものが手足についている。
 亜人だ。それも猫の。
 彼女は男5人に対して堂々と言い放つ。
「喧嘩の原因作ったのあなた達でしょ? あなた達が頭下げるのが筋なんじゃないの?」
 ごもっともな正論である。
「いちいち水差すことぁねえだろ? もう喧嘩は始まってんだからよ。今更引っ込みつくかってんでぃ!」
 男Aは引っ込みがつかないらしい。零児に蹴られたことに屈辱を感じたためかもしれない。
「口で言って分からないなら……!」
「どけ、ユウ」
 ユウと呼ばれた女の子は自らの背後に立った太い声の男の横に立つ。
「……」
 男。否、大男と称するに相応しいくらい背が高い男だ。
 全身が白く、足は狼のように長く、手や足は拳闘士のそれをはるかに上回る太さを持つ。その顔は人間のものではなく狼そのものであり、後頭部から体毛の白とは別に長い金髪が生えている。
 身長は軽く2メートルを越えており、漂う威風は武人を思わせた。
「悪いことは言わん。大人しく俺の前から消えろ……」
 亜人の大男は太い声で静かにそう言い放った。
「…………」
 男Aもその子分もその巨体に圧倒されて何も言えないでいる。
 彼らは人間としての生存本能ではっきりわかった。自分達が束になっても絶対に敵わない。目の前の存在は人間ではない。悪魔か何かだ。
「消えろと言っている!!」
 一際巨大な声をあげ、大男が眼光だけで威嚇する。男Aと子分達は恐ろしくなりその場から退散した。
「大丈夫か?」
 大男は零児を見下ろす。
「あ、ああ……」
「レイちゃん!」
 火乃木達が駆けつける。彼女達も当然ながら零児が心配だったのだろう。
「あなた達、彼の仲間?」
「う、うん。そう!」
 零児の額にタオルを当てて止血しながら、火乃木はユウの問いに答える。
「じゃあ、私達が心配する必要はないね。ちゃんと頭を冷やさせて、ゆっくり休ませるんだよ?」
「うん。そうさせるよ」
「ところでさ……」
 ユウは火乃木に顔を近づける。
「え? な、なに?」
「スンスン……」
 ユウが火乃木の匂いを嗅ぐ。
「あなた、亜人だね?」
「!!」
 ずばり真実を言い当てられ火乃木が狼狽する。
「アルテノスについたら、隠す必要ないからね」
 ユウはそういい残して火乃木から離れた。同時に大男もその場から離れ自分達が座っていた席についた。
「火乃木。零児を医務室に連れて行くわよ」
「う、うん」
 零児はアーネスカと火乃木の肩を借りて、医務室へ向かい、治療を受けた。
 その夜。零児はとんだ災難だったと眠りながら愚痴を零していた。
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